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【妖怪】河童の一族と共同生活する村

昔々、山の中に川が流れそこに河童の一族が代々住んでいた。

村は平安の落人の一族が河童の一族の棲まう場所にまで逃げた際に、ケガの治療や食べ物を提供されるなどして助けられたことから始まる。

 

落人たちは行く場所も無い事もあってここに留まることをお願いすると、好奇心旺盛な河童の一族は快諾した。

 

落人達は生活するために、炭焼きや木の切り出しと植林、川では漁業、岸部付近では田畑を作るなどして生活をしていた。

 

徐々に落人が増えていっても初めからそこに住んでいた河童の一族に最初は驚くも忌避感は無く、隣人として敬い、村人たちは懸命に働きながら仲良く共同生活を営んでいた。

 

河童たちは力仕事を得意とし、村の田畑の手入れはもちろん、山から木を下す際に川に流した時の助けなど、特に水に関係する事はめっぽう強かった。

 

梅雨時期によく川の増水や土砂崩れなどは起きたものの、過去一度も人的被害が起きたことは無い。

 

それも河童という種族が成せる業なのか、水難事故の際にはどこが危ないかを事前に当て逃げることを促し、もし人が巻き込まれてしまっても持ち前の力で迅速に救助するなど、水辺で人が無くなることは非常に少なかった。

 

ただ、河童たちは非常にいたずら好きであったが、川に引き込んでも普通に岸に戻すといった遊びの範疇であり、迷惑ではあったが笑って済ませられる程度の物に次第に慣れ、気づけば村の大人から子供まで住人は誰しもが泳げるようになったとされる。

 

特に子供と遊び面倒をよく見ることから、親からは絶大な信頼を寄せられていた。

 

田畑が出来て1度目の作物が実り、感謝を示すために渡したのが、村にたどり着いた落人が持ち込んだ種苗の中から育てた「瓜」だ。

 

 

河童たちはこの瓜を大変気に入り「いたずらは控えるから」と村人に頼み込んで田畑を広くし瓜を植える様に懇願した。

 

驚くことに、その土地の気候や水質そして土が瓜の栽培に最適だったのか、非常に品質や実りが良く出来るようになった。

 

そして、その地域は江戸末期ごろには「きゅうり」が持ち込まれ、それを殊更気に入った河童はきゅうり増産を決め、数十年経つときゅうりの名産地として知られる様になり遠くからも人が食べに来るようになった。

 

村のキュウリは「河童瓜」と名付けられ、新鮮で美味しく、生食から漬物に至るまで使え、それを求めて遠くから商人が来るまでになり村は繁栄した。

 

年月が経った現代、人との交配が進んだ河童の一族は、姿も人に近いものに変わり村で代を重ねながら幸せな生活を送っている。

 

彼らはいたずら好きで人を困らせると言われているが、種族や河童個人によっては友好的かつ親切であり、村人たちにとって欠かせない存在かつ良き隣人になりえる。

 

 

 

 

※全て嘘で全て偽

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