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【オカルト】夜な夜なオープンするスナック「金華猫」

昭和初期、地方の町に昔から不思議なスナックがあるという噂が流れていた。

町に住む者たちの間で噂になっている店は「スナック金華猫(きんかねこ)」という店名だ。

 

満月が煌々と輝く人が寝静まった深夜、日ごと違う場所に夜な夜なオープンすることしか詳しいことは分からない不思議なスナックだ。

 

スナックは普通に探しては絶対に見つからない。

 

店に訪れる事ができる人間は、店へ呼び込みする従業員に誘われた人間のみなのだ。

 

店に誘われた人は、スナックで接客する美男美女の従業員が全て人ではなく金華猫と呼ばれる人外の者たちだと分かってしまう。

 

というのも「金華猫」は妖としてその町では昔から信じられ、目撃談も非常に多い妖怪として知られているからだ。

 

町には金華猫の力を信じる者もいれば、ただの伝説だと笑い飛ばす者もいた。

 

ただ「スナック金華猫」に誘われた人間には共通点があり、過去猫を大事に飼っていた人のみに限られ、招かれた人はスナックのママが非常にきれいな事、接客してくれた子には心を助けられたと口々に言った。

 

スナックに招かれるのは1度限りだが、意外にスナックに招かれたことがある人は多いので噂が流れやすい。

 

その中でもスナックのママは美しさと優雅さで知られ、店に招かれると必ず会うので噂が共通していることから町の人々からはママが金華猫そのものではないかと噂された。

 

ある日、町の女性が金華猫の従業員に誘われスナックに足を運んだ。

 

女性は以前18歳前後の猫を飼っていたが数週間前に家から居なくなってしまい、「年だし死にざまを見せたくなくて居なくなったのでは」とふさぎ込んでいた。

 

女性は金華猫の伝説を信じる者で、飼い猫の居場所がどこか分からないかと、猫の妖である謎めいた存在に会ってみたいと思っていたのだ。

 

店に入ると数人の男女が楽しそうに、または涙を流しながら酒を片手に談笑しているのが目に入った。

 

スナックのママは招待された彼女に微笑みかけ、一人の従業員を紹介した。

 

女性に非常に馴染みのある名前が呼ばれると、窓辺に座る女の子がじっと彼女を見つめた。

 

その瞬間、月の光を取り込んだかの如く女の子は不思議な輝きに包まれると、女性が以前飼っていた猫に姿を変えた。

 

女性は大声を上げて泣き、猫に駆け寄ると胸に抱きしめ数分間は離さなかった。

 

スナックのママは月の精気を取り込み金華猫としての力を発揮し、猫を女の子に再び変えさせ、女の子は女性に酒を酌をしながら、過去一緒の生活で有った楽しい事や悲しい事などを語り、楽しい時間を過ごした。

 

空が白み始める頃にスナックは終わりとなり、女の子は飼い主の女性は今生の別れを告げる。女性も不思議な体験をしているから一緒に帰れないことは分かっていた。

 

女性は最後に女の子を抱きしめ、会えたことに感謝してドアから出た。

 

後ろ髪惹かれる思いで店を振り返ると、既にスナックの跡形は無く、壁が崩れドアも無い廃墟の前に立っていた。

 

女性は夢を見たのか化かされたのかと思ったが、この不思議な体験で心の区切りが着けられ楽になった。

 

こうして、町は夜な夜な伝説が生まれ、神出鬼没のスナック金華猫は人々の噂で広まっていくことになる。

 

金華猫は人を誑かすだけでなく、夢と不思議な体験を提供し、町に幻想的な雰囲気をもたらしていた。

 

ちなみに猫が13年以上生きると、夜に屋根に上り月の精気を吸い込んで人間の姿を変える力を手に入れるようにな。

 

力を手に入れると飼い猫として生きる猫は、更なる修行のため森に潜み人から姿を消すが、金華猫の位に上がれずに寿命で姿をくらます猫の方が多い。

 

なお、大事に扱わずに虐待やそれに付随する行為を行った人には、恨みに比例した化かされ方をして社会的に死ぬか実際に死ぬ。

 

 

 

 

※全て嘘で全て偽(金華猫は中国の化け猫)

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