【魔術・占い】魔術「栄光の手」シ体から作る蝋燭の歴史と謎
「栄光の手(Hand of Glory)」は、中世ヨーロッパの魔術や伝承に登場する不気味なアイテムだ。
これは処刑された罪人の手から作られる蝋燭で、特別な魔力を持つと信じられていた。家への侵入者を守ったり、持ち主以外の人間を眠らせるなどの超常的な力が伝えられている。
この記事では、栄光の手の起源や作成方法、歴史的背景、実際の遺物、そしてフィクションでの登場例について深掘りしていく。
1. 栄光の手とは何か?
栄光の手とは、絞首刑にされた罪人の手を使って作られる魔術的アイテムだ。
中世ヨーロッパでは、死者や処刑された人間には特別な力が宿ると信じられていた。特に、罪人の右手(犯罪に使った手)が強力な力を持つと考えられていた。
● 作成方法と儀式
栄光の手を作るためには、以下の工程が必要とされた。
- 絞首刑にされた罪人の右手を切り取る。
- 手を塩漬けにし、乾燥させる。
- 乾燥した手に特別な蝋燭を取り付ける。蝋燭は罪人の脂肪から作られたとされる。
- 特定の呪文や儀式を行い、手に魔力を宿らせる。
このアイテムは、主に盗賊や魔術師が使用し、家屋への侵入時に人々を眠らせたり、警備を無効化するために使われたと伝えられている。
● 効力と信じられていた効果
栄光の手には以下のような効果があると信じられていた。
- 人々を眠らせる:家の住人全員を深い眠りにつかせる。
- 扉を開ける:鍵のかかった扉や窓を開けることができる。
- 光を特定の者にだけ照らす:蝋燭の光は持ち主だけに見え、他の者には見えない。
これらの効果は、栄光の手を持つ者にとって非常に有利であり、特に盗賊や夜陰に紛れて活動する者たちに重宝された。
2. 栄光の手の歴史と背景
栄光の手が広まったのは主に16~17世紀のヨーロッパだ。この時代は宗教改革や魔女狩りの真っ只中であり、オカルトや魔術への恐怖と興味が入り混じった時代だった。
● 魔術と死者の力
当時の人々は、処刑された罪人には特別な力が宿ると信じていた。絞首刑にされた人間の手は、魔術師たちにとって貴重な材料だった。魔術書『黒い鶏の書(Le Petit Albert)』にも栄光の手に関する記述が残されている。
● 実際の使用例
栄光の手は、単なる伝説や物語ではなく、実際に使われていたという記録が存在する。
例えば、18世紀のフランスでは、盗賊団が栄光の手を使って家宅侵入を行ったという事件が残されている。
これらの伝説や記録は、魔術に対する恐れをさらに強化し、栄光の手が「禁忌のアイテム」として広まる要因になった。
3. 実在する「栄光の手」の遺物
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現存する栄光の手の実物は、イギリスの「ウィットビー博物館」に展示されている。
この遺物は、19世紀にヨークシャー地方で発見されたもので、本物の人間の手を使用しているとされる。
● 遺物の特徴
- 材質:本物の人間の手が乾燥・加工されている。
- 蝋燭:手の指先に蝋燭を立てるための跡が残されている。
- 魔術的な装飾:儀式の痕跡や呪文の記述が見られる。
この展示物は、栄光の手が単なる伝説ではなく、実際に作られ、使用されていたことを証明する貴重な証拠だ。
4. フィクションにおける栄光の手
栄光の手は、多くの文学作品や映画で描かれている。
● ハリー・ポッターシリーズ
J.K.ローリングの『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、「栄光の手」が魔法道具として登場する。
ドラコ・マルフォイが購入したこの道具は、持ち主だけを照らし、他の者には見えないという特性を持つ。
● その他の作品
- 怪奇小説:栄光の手はホラー小説でよく取り上げられる。
- 映画:ホラー映画では、しばしば栄光の手が邪悪な力を象徴するアイテムとして登場する。
フィクション作品では、栄光の手の恐怖感や神秘性が強調され、観る者に強烈な印象を与える。
5. 栄光の手の象徴性
栄光の手は単なる魔術アイテムではなく、人間の罪や恐怖、そして禁忌への興味を象徴している。
- 禁忌への挑戦:死者を冒涜し、魔力を得ようとする人間の欲望。
- 恐怖の象徴:栄光の手は不気味さと禁断の力を象徴するアイテムだ。
まとめ
栄光の手は、中世ヨーロッパの魔術文化を象徴する存在だ。罪人の手を用いるという禁忌と、その手に宿るとされた不思議な力は、現代に至るまで多くの人々を魅了してきた。
歴史的背景、実際の遺物、そしてフィクションにおける描写を通じて、栄光の手の持つ深い意味を理解することができる。