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【オカルト】妖精の宵宮とオークション

明治時代、東北のとある平野に大きな山があり、その麓には小さな村があった。

村の奥には規模に見合わぬ、綺麗に手入れされた長い参道を有する神社があった。

神社は村が出来るはるかかなたより祭壇があり、鬼の神様が他の鬼の神様と交代で管理するために住んでいた。

 

数百年前に人が小さな村を作ったことで、石造の祭壇だけ有った場所は神社に形を変え、鬼神(おにがみ)の一族は管理者として村人と平和に暮らしていた。

 

神社を管理する鬼神は年に1度、秋に他の鬼神と交代する大祭を催すのだが、その前夜は鳥居に光の膜が張る現象が起こる。

 

その光の膜を潜ると参道には煌々と光る看板を付けた露店が所せましと並び、明らかに人外だが明るく優しい者たちが元気な声で呼び込みを行い、食べたことのない料理や当時最新の遊戯を提供し商売していた。

 

所謂「宵宮」という催しだが、村の住人たちは古くから夜宮を楽しみにしており、自分たちが稼いだお金を携え、また金の無いものは作物以外の物々交換でも良く、子供から大人までもがその日の為に集めた金銭や物品を携え遊びに行った。

 

鳥居をくぐるとすぐ手前に交換屋が居て、店で使える硬貨と交換をしてくれる。

 

交換した貨幣を握りしめた住人は露店を楽しそうに回り、様々な露店の商品に目移りしながら手持ちの貨幣とにらめっこしていた。

 

露店の料理は一度食べるとその美味しさに誰もが驚き、最新の遊戯にはみんなが集まり笑いながら楽しんだ。

 

村人たちは年に一度のお祭り騒ぎを楽しむが、露店を営業する人外の者たちにも実は開催する目的が有った。

 

鬼神の管理者交代を祝うのが第一目的だが、露店を開く人外の者たちは「妖精」で、総じて物品のコレクターなのだ。

 

その時代の「金銭」「鉄製品」「工芸品」「酒」などを合法的に手に入れることが出来る唯一の方法が夜宮だった。

 

というのも、以前は好き勝手に祭壇から現世に跳んで、人の目を盗み物を盗んで集めていたが、鬼神の逆鱗に触れ、キチンと商売したうえでなら良いとのお達しを受けたからに他ならない。

 

夜宮が終わった後が妖精たちの本番で、露店専用の貨幣と交換した物品を高値を付けたものが貰えるという「妖精のオークション」が行われる。

 

妖精からすると鬼神の交代はオマケでしかない。

 

尚、ここで露店を営む妖精たちは自然物から生まれたモノのため、自然が濃い場所にしか出ることが出来ないので街中に現れることは無いとされる。

 

 

 

 

 

 

※全て嘘で全て偽(画像の神社は何の関係もありません)

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