【魔術・占い】魔術書『ホノリウスの誓いの書』◎歴史・内容・影響を徹底解説
『ホノリウスの誓いの書』（Liber Juratus Honorii）は、中世ヨーロッパで書かれた魔術書だ。
天使魔術を主軸に据え、魂の救済、霊的存在との交流、禁断の知識の獲得を目的とした内容が記されている。
その謎に満ちた歴史、具体的な内容、他の魔術書との関係を深掘りし、その実態に迫る。
1. 魔術書『ホノリウスの誓いの書』とは？
『ホノリウスの誓いの書』は、13世紀頃に中世ヨーロッパで編纂されたとされる魔術書だ。
著者としては教皇ホノリウスが名義上挙げられることが多いが、実際には無名の魔術師たちによって書かれた可能性が高い。
この書物は「天使魔術」を中心に構成されており、神の名を用いて天使や霊的存在を召喚し、その力を借りることを目的としている。さらに、この魔術書は「魂の救済」や「霊的世界との交信」についても言及している点が特徴的だ。
特に注目すべき点は、執筆背景だ。記録によれば、ナポリ、アテネ、トレド、テーベといった魔術文化の中心地から集まった811人の魔術師たちが、各々の知識を一冊の書物にまとめることで、この魔術書が誕生したとされている。この協力体制が事実であれば、『ホノリウスの誓いの書』は当時の魔術知識の集大成ともいえる。
現存する写本は14世紀のもので、大英図書館の「スローン文庫」に保管されている。また、16世紀には錬金術師ジョン・ディーもこの書物を所持していた記録が残っている。
2. 『ホノリウスの誓いの書』の歴史的背景
『ホノリウスの誓いの書』が書かれた13世紀のヨーロッパは、異端審問が盛んに行われ、魔術師や異端者たちが弾圧されていた時代だった。
教会の権威が絶対視される一方で、知識や神秘学に対する渇望が強まり、秘密裏に魔術が研究されていた。
この魔術書が生まれた背景には、魔術師たちの「知識の保存」と「神との直接的な対話への渇望」があったと考えられる。彼らはキリスト教の教えを基盤にしつつ、天使や霊的存在の力を借りることで、人智を超えた力を手にしようと試みた。
『ホノリウスの誓いの書』は、当時の魔術師たちにとって「禁断の知識の書」であると同時に、「魂の救済の手引書」でもあった。
そのため、この書物を手に入れることは、多くの魔術師たちの願望でもあった。
歴史的に見ても、この書物は単なる魔術書ではなく、当時の魔術文化や信仰の在り方を反映した貴重な資料でもある。
3. 『ホノリウスの誓いの書』の内容と特徴
『ホノリウスの誓いの書』は93章から構成されており、内容は大きく以下の3つに分けられる。
● 魂の救済方法
この書物は、魂を煉獄から救済するための方法について詳細に述べている。儀式や呪文、特定の護符を用いることで、死後の魂を天国に導く手段が示されている。
● 天使や霊的存在の召喚術
天使や霊的存在を召喚し、彼らの力を借りる方法が詳細に解説されている。具体的な召喚の呪文や儀式、必要な護符や祭壇の設置方法などが含まれる。
● 財宝や知識の発見
特定の儀式を行うことで、隠された財宝を発見する方法や、禁断の知識を得る方法が記されている。
これらの内容からわかる通り、『ホノリウスの誓いの書』は天使魔術書の中でも極めて実用的な要素が多く含まれている。
4. 他の魔術書との関係
『ホノリウスの誓いの書』は、後の魔術書に多大な影響を与えた。
特に17世紀に登場した『教皇ホノリウスの奥義書』は、この書物の内容を元に書かれた可能性が高い。
また、ソロモン王が著したとされる『ソロモンの小さな鍵』や『ゴエティア』などの魔術書とも共通点が多く見られる。
これらの書物も天使召喚や霊的存在との交信を目的としており、その技法や護符の使い方には類似点が多い。
『ホノリウスの誓いの書』は、天使魔術書として後世に残る数々の魔術書に大きな影響を与えたことは間違いない。
5. まとめ
『ホノリウスの誓いの書』は、中世ヨーロッパの魔術師たちの知識と信仰が凝縮された魔術書だ。
その内容は天使召喚、魂の救済、財宝の発見など多岐にわたり、後世の魔術文化にも多大な影響を与えた。
現代では研究対象としても、また神秘主義やオカルト文化の象徴としても高く評価されている。
この魔術書を通じて、当時の人々の信仰や知識欲、禁断の知識への渇望を感じ取ることができる。