知名度抜群の魔導書・死者の書の知っておくべき6つの真実
死者の書は、古代エジプトにおいて死後の世界を安全に旅し、永遠の安寧を得るために作成された宗教文書だ。
19世紀にドイツのエジプト学者カール・リヒャルト・レプシウスによって「死者の書(Das Totenbuch)」という名称が与えられた。
この文書は単なる宗教的儀式のガイドではなく、古代人の死生観や信仰、文化的背景を反映している。
この記事では、死者の書の起源、構成、魔導書としての側面、他文化との類似点、現代文化への影響など、6つのポイントに分けて詳しく解説する。
1. 死者の書とは何か?
死者の書は、古代エジプト人が死者を死後の世界へと安全に導くために作成した呪文や祈祷、儀式の手順を記録した文書だ。
正式な名称は「ペル・エム・フル(出でし者が昼を望む書)」と訳される。
死者の書の目的
- 冥界での安全な旅:死者が「デュアト(冥界)」を通り抜け、無事にオシリス神のもとへ到達するための道案内。
- 神々の審判への準備:オシリス神の前で「心臓の天秤」の審判を受け、罪が軽いと認められる必要がある。
- 呪文と護符の使用:死者が邪悪な霊や障害を避け、安全に旅を進めるための呪文が記されている。
死者の書の使用方法
パピルスに書かれた死者の書は、死者の棺に収められ、ミイラと共に埋葬された。死者が冥界を旅する際、各場面ごとに必要な呪文や祈祷を唱えることで障害を回避し、正しい道を選ぶことができるとされた。
死者の書の重要性
死者の書は、王族だけでなく、富裕層の一般人にも広まり、個々の死者に合わせてカスタマイズされたバージョンが作られた。これにより、死後の旅路はすべての人にとって「成功への道」として確立された。
2. 死者の書の起源と歴史
死者の書の起源は古王国時代(紀元前2600年頃)に遡る。当時の葬祭文書は「ピラミッド・テキスト」と呼ばれ、王族の墓の内部に直接刻まれていた。中王国時代(紀元前2055年頃)には「棺桶文」と呼ばれる文書に発展し、木棺の内側に書かれるようになった。
新王国時代の死者の書
新王国時代(紀元前1550年〜紀元前1070年)になると、死者の書はパピルスに書かれるようになり、一般庶民にも広まった。パピルスに描かれた死者の書は美しいヒエログリフやイラストで装飾され、死者一人一人の名前や状況に応じた呪文が追加された。
有名な死者の書
- アニのパピルス:大英博物館に所蔵される最も有名な死者の書。新王国時代の書記官アニのために作成された。
- グリーンフィールド・パピルス:ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵される長さ37メートルに及ぶ死者の書。
死者の書の廃れ
古代エジプト文明の衰退と共に死者の書は次第に使われなくなった。しかし、19世紀の考古学的発見により、その存在が再び明らかにされ、現代に至るまで多くの研究者や歴史家の関心を集め続けている。
3. 死者の書の構成と内容
死者の書は一冊の本ではなく、呪文や祈祷、儀式が集められたものだ。全体で約190の呪文が含まれており、以下の主要なテーマが含まれる。
① 冥界での旅路
死者はデュアトを旅し、多くの試練や障害を乗り越えなければならない。呪文を唱えることで、道を示され、罠を回避することができる。
② 心臓の天秤
冥界でアヌビス神が死者の心臓をマアトの羽根と天秤にかけ、罪の重さを測定する。罪が軽ければ天国へ、重ければ怪物「アメミット」に食べられてしまう。
③ 神々への祈祷
オシリス、ラー、ホルスといった神々に祈りを捧げ、守護を受ける。
④ 護符とお守り
特定の呪文や護符を用いることで、邪悪な存在から死者を守る。
死者の書は死後の世界を安全に旅し、オシリス神の審判に合格するための具体的なガイドラインを提供する。
4. 死者の書は魔導書なのか?
「死者の書」はしばしば魔導書として語られるが、正確には宗教的文書だ。しかし、以下の理由から「魔導書」としての側面が注目される。
- 言葉に宿る力:古代エジプトでは、呪文を唱えることで現実に影響を与えられると信じられていた。
- 冥界との対話:死者の書には、神々や霊と対話するための呪文が含まれる。
- 儀式的使用:護符や結界の形成など、魔術的要素も含まれている。
5. 他文化との類似点
死者の書に似た文化的・宗教的文書は世界中に存在する。
- チベット仏教の『死者の書』
- 日本の『十王経』
- ギリシャ神話の冥界観
これらは死後の旅や審判という共通のテーマを扱い、人類共通の死生観を示している。
6. 現代文化への影響
- 映画:『ハムナプトラ』シリーズ
- 小説:H.P.ラヴクラフト作品
- ゲーム:『ダークソウル』シリーズ
死者の書は現代文化にも影響を与え、人々を魅了し続けている。
スポンサーリンク
しきたり・風習,オカルト,オーパーツ,スピリチュアル,世界,人間,占い,占い,古代文明,呪い・おまじない,宗教,宗教(世界),心理,意識,文化,歴史,現象,病気,神(世界),自然,行事,記憶,超常現象,都市伝説,風俗,風習,魔術アニのパピルス,エジプト学,オシリス,冥界,古代エジプト,呪文,心臓の天秤,死者の書,魔導書
Posted by fake-lie-collection
スポンサーリンク
関連記事
【魔術・占い】 呪文「アブラカタブラ」の歴史と魔術における5つの効果
「アブラカタブラ」という呪文は、古代から現代に至るまで多くの人々に知られ、魔術や ...
【魔術・占い】魔術書「ソロモンの鍵」に登場する72柱の悪魔
今回はアニメやゲーム、ラノベでも良く登場するソロモンの悪魔について紹介しよう。 ...
【オカルト】呪文と言霊、関係性はあるのか?
呪文と言霊、関係性があるのかを考えてみた。 呪文とは 呪文(じゅもん)とは、通常 ...
【魔術・占い】魔導書『黒い雌鶏』と呪文の謎-財宝探しと魔術の歴史
魔導書『黒い雌鶏』は、18世紀のフランスで編纂されたとされる神秘的なグリモワール ...
【魔術・占い】古代エジプト魔術は全ての魔術の起源説
古代エジプトの魔術は、神々と人々の生活が密接に結びついていた時代の象徴だ。 その ...
スポンサーリンク