【オカルト】ウィジャ盤で呼び出した霊に憑りつかれた話
オカルトに傾倒した友達の集まりでウィジャ盤を使って降霊して遊ぶことになった。
ウィジャ盤を中心に集まり、部屋を薄暗く、浄化で使われるお香を焚き、適度な緊張感の中、降霊がはじまった。
参加者たちはこっくりさんの呼び方でウィジャ盤を使い霊を呼び寄せたが、この際にどんな霊に来てほしいかの指定はしなかったのが失敗だった。
3人が一人1つずつ質問していくことにし、最初の質問者が「●●ちゃんに振り向いてもらいたい。どうすればいいか?」という質問に対する答えは「プロテイン」。
不気味な静けさの中、なんの冗談かと再度同じ質問をするも返ってくる答えは「プロテイン」だった。
気を取り直し続いて2人目の質問する。
「この世界とあの世で一番大事なものは?」と尋ねると、ウィジャ盤は「鍛え抜かれた筋肉」と指が文字を指し示す。
部屋の温度が更に下がった感じがして、友人達は冷や汗をかきながら最後の一人である体がふくよかな男の子が質問をする。
「あなたは何者ですか?今何の霊と交信をしているのですか?」と質問すると、「マッチョ」と指さす。
その瞬間、外から強烈な光が差し込み、そこには巨大な影がカーテン越しに見えた気がした。
その時に一人がウィジャ盤から手を放してしまったことで事態が悪化する。
ちゃんと霊に帰ってもらうためには「もとの場所にお帰り下さい」と言い、答えてくれた霊に感謝しなくてはならなず、その順序を守れなかった場合は霊は帰らずに憑りついてしまうことになる。
指を離してしまったふくよかな男の子が急に倒れこむと急に大声で泣きながら謝り始め「トレーニングの邪魔をする者に制裁が下る」と言い、その言葉を繰り返しながら、腹筋、背筋、腕立てをローテーションで始めた。
目は涙に濡れ、完全に血走りながらも筋トレを繰り返す友人に2人は、完全に憑りつかれてしまったのだと恐れおののきながら一斉に部屋を飛び出して自宅に帰って行った。
次の日、学校に行くと友人は何事もなかったように教室に座っていたが、顔は疲れ切り背もたれに凭れ掛かっていた。
昨日の事を聞くと「だらしない身体でごめんなさい」「食事制限をしっかりします」「信じられるのは筋肉だけ」とうわごとの様に呟いていて、話がかみ合わなくなってしまっていた。
それからはオカルトに興味を示さなくなり、日毎に体つきが変わっていった。
ベルトの上に乗っかっていた肉は引っ込みはじめ、全体が絞られてくると筋肉で身体が大きくなり、ファッションも外から見て筋肉が分かるようなパツパツな福を着るようになっていった。
休み時間は梯子の一番下や、教室の扉の桟の部分に手を掛けて懸垂をしていたり、授業中は空気椅子をしたりと筋トレ中心の生活に変わっていった。
心配になったオカルト友達と二人でふくよかだった男の子に「趣味嗜好が変わったんじゃないか?」と聞く。
すると「あの日の晩から夜な夜な頭に霊の言葉がはっきり聞こえ、1日に決まったトレーニングと管理された食事をしないと寝せてくれないんだ」と言った。
「でも日課を全てこなすと誉めてくれる」「チートデイは好きなものが食べられるんだ」と非常にうれしそうに語り、徐々に洗脳されていっているのではと友人は恐怖した。
その後、学校を卒業すると疎遠になったが、風の噂で友人は「筋肉は決して裏切らない」を合言葉に、憑りついた霊とともにジムを経営するまでに至っているらしい。
※全て嘘で全て偽