【占い】卜占「易」で運命を読み解く|はじめての東洋占術入門
人は誰しも、人生の岐路に立ったときに「自分の選択は正しいのか?」と迷うものだ。そんなときに役立つのが、東洋の叡智「卜占 易」である。これは『易経』という古典をもとに、偶然の中から天の声を読み解く占術だ。
「占い」というと西洋占星術やタロットカードを思い浮かべる人が多いが、卜占 易はそれらと一線を画す。
現象の中にある変化の兆しを読み取り、今ある状況にどう対応すべきかを導き出す知恵の体系である。
本記事では、卜占 易とは何か、どうやって占うのか、そして実生活にどう活かせるのかを、初心者にもわかりやすく解説していく。
占いの「卜」とは? 易経とは何か?
占いには「命・卜・相」という三つの系統がある。その中でも「卜(ぼく)」は、偶然に現れた象(かたち)を通して天の意志を知ろうとする技法だ。
タロットやルーンも「卜」に属するが、東洋における代表格が「易占」である。易占は『易経(えききょう)』という古代中国の経典に基づいて行う。
『易経』の成立は紀元前1000年頃とされ、天地自然の変化を象徴的に記号化した「八卦(はっけ)」と、それを組み合わせた「六十四卦(ろくじゅうしか)」を使って占うのが特徴だ。
この六十四卦には、自然界のあらゆる現象と人間の営みが凝縮されている。
「雷が鳴ると雨が来る」「風が吹けば波が立つ」――こうした自然の因果関係をもとに、人の運命や流れを読み取るのが易の本質である。
卜占 易のやり方とは? 初心者でもできる基本手順
卜占 易を実際に行う方法は複数あるが、初心者におすすめなのが「三枚銭法」だ。
コイン3枚を6回投げることで、6本の爻(こう)を作り、ひとつの卦を完成させるという非常にシンプルな方法だ。
基本的な手順は以下のとおりだ。
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同じ種類のコインを3枚用意する。
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裏と表に点数をつける(例:裏=3点、表=2点)。
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3枚を同時に投げ、出た点数の合計で陰陽を決定する。
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6回繰り返し、下から順に線を積み上げて六本の爻を作る。
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できた卦を易経で調べ、意味を読み取る。
合計点に応じた爻の判定は以下の通りだ。
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6点:陰の変爻(老陰)→⚋(変化)
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7点:陽の静爻(少陽)→⚊
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8点:陰の静爻(少陰)→⚋
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9点:陽の変爻(老陽)→⚊(変化)
この六本の爻が組み合わさることで、六十四卦のうちのどれかひとつが導き出される。
まさに偶然に現れた「かたち」から意味を読み取るのが卜占 易の核心だ。
卜占 易で読み取れることとは?
卜占 易は、未来を言い当てるものではない。「今ここで、どう動くべきか?」という問いに対して、自然界の原理を通じてヒントを与える占術である。
たとえば、ある仕事を引き受けるかどうかで迷っている場合、易を立てることでその行動の「流れ」が吉か凶かがわかる。
卦の内容によっては、待つべき時であることが示されることもあるし、すぐに行動すべき時だと教えてくれることもある。
また、卜占 易では「変爻(へんこう)」が出たときに注目すべきである。
変爻は「状況が今後変わること」を意味しており、未来に向けて流れがどう動くかを読み取る鍵になる。
六十四卦には、それぞれ以下のような象意が込められている。
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乾為天(けんいてん)…強い意志、積極的な行動が吉
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坤為地(こんいち)…受け入れと育成、静かな信頼が吉
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火水未済(かすいびせい)…未完成、準備段階
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山雷頤(さんらいい)…蓄える、育てる、熟成
どの卦が出るかによって、人生の局面がどう進んでいるのかが見えてくる。
実生活での活用例:恋愛・仕事・日常の判断に
卜占 易は、日々のあらゆる場面で使える。運命の選択はもちろん、小さな判断にも役立つのが易の魅力だ。
【日常での使い方】
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今日の過ごし方を決めたい
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旅行や引っ越しの日取りを決める
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体調や気分の流れを知りたい
【恋愛での使い方】
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告白や復縁のタイミングを知りたい
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相手との相性を見極めたい
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恋の進展があるかどうかを確認したい
【仕事や対人関係】
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新しいプロジェクトを始める時期を知りたい
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上司や部下との関係性を占いたい
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転職や退職のタイミングを探りたい
卦は常に「今」に応じて答えを変える。
つまり、状況に応じて変化し続けるものを読み解く占術であるため、繰り返し使っても答えがブレないのが魅力だ。
占いに依存しない心構えと注意点
卜占 易は確かに深く鋭い示唆を与えてくれるが、それに「依存」してはいけない。占いはあくまで「道しるべ」であり、人生の決定権は常に自分自身にあるべきだ。
以下は卜占 易を行う上での心構えだ。
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結果に一喜一憂しすぎない
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常に「なぜこの卦が出たか」を考える
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判断の責任は自分にあると心得る
また、初心者が誤解しがちな点として「卦の意味をそのまま当てはめる」ことがある。
同じ卦でも、問いや状況が違えば意味も変わる。大切なのは「文脈に応じた解釈」だ。
知識を深めたい場合は、古典的な解説書や現代の入門書を並行して読むと良い。易は一生かけて学ぶ価値がある知恵の宝庫だ。
おわりに:変化を読み解き、自分の道を歩もう
卜占 易は、単なる占いではない。人生の流れを読み取り、より良い選択をするための知恵だ。
「変化を知ることが、未来を作ることにつながる」――この思想に触れることで、私たちは過去の縛りから解放され、前向きに生きる力を手にできる。
悩んだとき、迷ったとき、どうすればいいかわからなくなったとき。
そんな瞬間に、卜占 易の卦はあなたの内なる声を静かに映し出してくれるはずだ。