【オカルト】異次元であった赤ら顔のオッサン

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ある日、夜の仕事を前に仮眠を取ろうと昼寝をした。

体感1時間位で眼を覚まし、スマホをのぞき込むと違和感に襲われた。

 

急いで周りを見渡すも自分の部屋なのは間違いないのだが、スマホに表示されている文字が微妙に違うように感じられた。

 

不安と恐怖が入り混じる中、自分は寝ぼけているんだと二度寝を決め込むも寝られないので外に出てみることを決心した。

 

外は夕暮れで家や壁がオレンジ色に染まっているが、そこには建物以外は人がいない静寂な世界が広がっていた。

 

ネットで話題になってた異次元に迷い込んでしまったのか?と不安と孤独感に包まれながら歩き続けると、自分の住んでいた町には無かった高い塔が見え始めた。

 

とりあえずソコを目指して進むと、個人商店の前に置かれた古めかしい自動販売機の隣にあるベンチに赤い顔をしたオッサンが座っていた。

 

おっさんは自分を見つけると「おい、いつココに来た?」と話しかけてきた。

 

驚きと同時に人が居たことに安堵の表情を浮かべ「昼寝して起きたらこうなってた。元居た所に戻りたいけどどうしたらいい?」と答える。

 

おっさんはため息をつきながら「今回はイレギュラーか」と漏らし、ポツンと立っている塔に行くからついて来いと言う。

 

ここは何処かと聞くと「ハザマ」としかオッサンは答えてくれなかった。

 

塔はメタリックな外壁で入口以外に窓は無く雲の上まで伸びている様に見える。

 

入口から中に入ると中央にカプセルの様な奇妙な装置が配置されており、おっさんはそれを開けながら中に入れと促す。

 

言われるままに中に入ると一人掛けの椅子があり、おっさんは「それに座って少し待て。前の次元に戻れるのは運次第だが次の次元には間違いなく行けるだろう。上に引っ張られる事を祈っている。」と言い扉を閉めた。

 

前の場所に戻れないのかと焦って椅子から立ち上がり扉を叩くも、装置は起動している様で脳を揺さぶるような耳鳴りがしだす。

 

身体が徐々に重くなっていく様な感覚に襲われ、更に下に引っ張られ、1分もしないうちに意識を手放した。

 

ハッと目を覚ますと自分の部屋が「広がっている」。

 

急いで周りを見渡すと自分の後ろ側まで見えて目の可動域がやたら広い気がする上に、周りにあるベットやカーテン、テーブルなんかが自分の数十倍の大きさに見えるではないか。

 

手を見ると、五本指では無く、手足は節ばった棒の様な足が6本生えていた。

 

パニックになって大声で叫ぶが、人の声は出ず鳴き声すら出せない。どう見ても虫になってしまっていた。

 

・・・

 

カプセルから居なくなった男をみて、オッサンは胸ポケットから煙草を出した。

 

マッチで火をつけ深く吸うと紫煙を吐いて呟いた。

 

「元居た世界に魂魄は戻ったが、畜生の輪廻に引っ張られたか・・・魂魄の修行が足りてなかったな。次のハザマで相まみえる時は修行を終えて上の界に行くか、輪を脱することを期待する。」

 

オッサンは赤い顔を更に赤くしながら、次の亡者が現れる場所を再現しベンチに腰掛けて待つのだった。

 

 

 

 

 

※全て嘘で全て偽