前回に引き続き静岡県遠州に伝わる7つの不思議について触れていきたいと思う。今回は「京丸牡丹」についてだ。
遠州七不思議とは
遠州七不思議(えんしゅうななふしぎ)は、静岡県の遠州地方に伝わる七つの不思議な物語を指す。
これらの不思議な物語は地域によって異なるが、よく知られている物を紹介しよう。
夜泣き石(掛川市佐夜鹿、小夜の中山): 女性の泣き声が聞こえる石。
桜ヶ池の大蛇(御前崎市佐倉): 池に住む大蛇の伝説。
池の平の幻の池(浜松市天竜区水窪町池の平): 幻想的な池の物語。
子生まれ石(牧之原市西萩間、大興寺): 子どもが生まれると石が割れると言われる石。
三度栗(菊川市三沢): 三度叩くと栗が割れるという栗の伝説。
京丸牡丹(浜松市天竜区春野町): 牡丹の花が京丸の形をしているとされる。
波小僧(遠州灘): 海の波に現れる小僧の姿。
これらが良く知られているが、今回は「京丸牡丹」について。
京丸牡丹とは?
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(※画像はイメージ)
京丸牡丹とは、浜松市天竜区春野町小俣の気田川(けたがわ)の川沿いに咲くと言われる巨大な牡丹のことを指す。
この花は7年、10年、または60年ごとに咲くとされ、その大きさは「唐笠」という傘と同等、また咲くことで天変地異の前触れを伝えるとも伝わり、幻の牡丹と言われている。
また、京丸牡丹はただの美しい花だけでない。
その正体は、遠州の山中で迷った旅人が京丸の里に辿り着いたという伝説に由来している。
この旅人は村長の娘と恋に落ちましたが、村の厳しい掟により2人は村から追放された。
結局、2人は気田川で心中を遂げ、その魂が今も京丸牡丹となって姿を現していると言われている。
京丸牡丹は気田川の川沿いで見ることができるが、山歩きが主となるため、体力を作ってから見にいくのが無難。
京丸牡丹の伝説はどこから来たのか?
「京丸牡丹」の伝説は、遠州七不思議の一つとして知られているが正確な起源ははっきりとはわかっていない。
このような伝説は、地域社会の結束を強めたり、特定の場所や風景に神秘的な要素を付加したりする役割を果たしている。
京丸牡丹の伝説も、地域の人々にとって特別な存在であり、その美しさと神秘性を讃えて語り継がれているのだろう。
気田川の川沿いで実際に京丸牡丹を見てみることをおすすめします。その美しい花と伝説の背後にある物語を感じることができるでしょう。