【心霊・幽霊】幽霊から噂を聞く「井戸端会議」

井戸端会議といえば、昔の共同井戸の周りで、退屈な水汲みや洗濯をしつつ噂話を楽しむ社交の場だ。

井戸が無くなった現在もその言葉は残っていて、場所を問わず長時間の世間話に興じるものととらえられているが、ある条件が揃うと幽霊が井戸端会議に参加することがあるらしい。

 

その条件は、3人以上が道端で世間話をしている事、その他に2点あるがそれは後述する。

 

ある昼下がり、とある村で三人の主婦が家の近所に集まり立ち話をしていた。

 

取り留めない世間話に講じていると、その日はいつもと異なり近所では見かけない女性がひょこひょこと寄って来たという。

 

 

聞くと「以前この付近に住んでいて、数十年ぶりに戻って来て昔を懐かしんでいた」とのこと。

 

自分たちの格好よりも来ている服の形が古い様に感じたが、新しい話のタネが出来たことに喜び、その人を輪に加えて話し始めた。

 

その女性が話す内容は、その村内で起きた過去数十年にわたる出来事はもちろん、過去に起きた災害、果てはどこどこのだれだれが浮気した、離婚した、出ていった、盗んだ、ここに何の店が有った、など多岐にわたり、主婦たちは話に花が咲いた。

 

ただ、徐々に話が込み入ってくると主婦たちは違和感を感じた。

 

正直、身内でなければ分からない様な内容までも、その場にいたかのように話を続けるのだ。

 

嘘も入っているとは思っていたが、真実に近い内容も知っていて「これはおかしい」と主婦たちは違和感や恐怖を感じた。

 

が、今まで聞きたくても聞けない、誰にも分からない「噂」が過去数十年分こぼれる様に降ってくるのだ。

 

楽しくないわけがない。

 

それに主婦たちは気づいていた。その話を提供してくれる人が「幽霊」であろう事も。なにせ手足が薄く透けるように見えるのだ。

 

だが、面白い話を提供してくれる人は、人間だろうが幽霊だろうが主婦たちは構わないし、決して逃がさない。

 

数時間が経過し喉が渇いたという女性に、主婦の一人がお茶を提供する。

 

それを飲み干すと今日はこれで帰ると満足げに言い、主婦たちはまたここに遊びに来るように約束を取り付けると、女性は笑いながら薄くなるように居なくなった。

 

それを見送った主婦達は次に会う時は自慢のお手製漬物をお茶菓子を用意すると決め、何事もなく解散し晩御飯の準備に取り掛かるのだった。

 

この井戸端会議で寄ってくる幽霊は基本的に、その土地に縛られている者、または浮遊するおしゃべりな者が寄ってくる。

 

そして、3人以上で井戸端会議をするという条件の他に「幽霊と分かっても逃げない、怖がらない図太い神経」「供物を渡すこと」を忘れてはいけない。

 

特に供物は重要で、供物を渡さない場合は会話に参加した人に憑いてきてしまう。

 

この条件をナチュラルに達成できるのは、全人類の中でも50歳以上のおしゃべりな田舎または関西圏の主婦くらいだろう。

 

 

 

 

 

 

※全て嘘で全て偽

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